中原昌也の連載絶筆宣言。

はい。「過渡期ナイト」レーベルオーナーの死紺亭柳竹です。

いま出てる『小説トリッパー』冬季号(朝日新聞社)に連載中の中原昌也KKKベストセラー』が、突然絶筆となった。該当のページをめくると、いきなり『あとがき』が出てくる。あとはモノクロの少女の写真が数葉あって、ページを何とか埋めている。
『あとがき』を読むと、朝日新聞島田雅彦文芸時評にぷっつんとキレたらしい。時評そのものを未読なのでなんとも言えないが、島田による中原の容貌への差別的誹謗中傷があったそうだ。中原は同じ版元で出ている雑誌に、『あとがき』ですら書きたくないと書いている。これは文壇的な事件だと思う。
中原昌也サイドからすれば、島田雅彦の横暴は許しがたい、というか「おまえ、何様だよ。」ということだろう。確かに島田雅彦の近作は、という問いに即座に答えるのは難しい。一方で中原昌也の傍から見ていてハラハラする、書けなさぶりも凄い。しかし、その書くことへの困難が真剣なものであるのは、今回の一件からも明白である。
たかが悪口の軽口ひとつと島田を笑い飛べせないのは、中原昌也のナイーブさが、その脆さに見合った甲羅を持っていない証左だろう。この出来事がいわゆる文壇バーなどではなく、出版されたもの同士で起こっているということにも注意を要する。そこまで文壇というものの内実は無くなっているのだ。編集者が現場で何をしているのか聞いてみたい。
中原昌也は、個人的に今年の文芸誌で読めたベスト・ショート・ショート『ドキュメンタリー 授乳』と『ドキュメンタリー 続・授乳』の作者であり、そのことだけでも今回のことはもったいない気がする。
島田雅彦は、確か何処だかの大学の客員教授だが、今回の件をどう受け止めているのか、または受け止めるのか。対応次第では大事に至る場合もあるような気がする。
ほんとうに、中原の連載が終わるのか。こうなってくると、肝心の小説の筋より、周囲の対応が楽しみになってくる。
師走の文壇、さて明日はどっちだろう。

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それでは、また。失礼しまうす。