『夏至の日には、劇評を。』

はい。『過渡期ナイト』レーベル代表・死紺亭柳竹です。
夏至の日の今日は、劇評をお送り致します。

劇評『死紺亭の眼』

劇団森 突発公演
『女 〜だから私はダメだって〜』
2005年6月18日〜6月19日 新宿パフスペース

30分間の芝居であるが、それ相応の緊密さがまったく欠落している。その30分間は完全に演劇の神様に見放されていた。失敗作というには、あまりにも失敗しすぎである。

私見に拠ると、設計図たる脚本があまりにずさんすぎたのではないか。「厚着じゃない女」を訊問する「厚着の女」。この「女」は同一の自我の別々の側面である、ということに観客は早い段階で気づいてしまう。その気づきが特に意外性もないのだが、芝居の設計はそこをクライマックスにしてしまっているので、観客は白けてしまう。

あたりまえの話だが、ふたりの会話劇は、あくまで会話で成立すべきなのだが、同一の自我という前提に脚本がずるずるべったりに寄っているので、遂に劇的な「対話」の一瞬が劇場には到来しないのだ。

なんとなくフリートークで30分間つなげない力量の女の子二人組が、やることないから芝居したという風情もあったが、さすがにそれで許してくれるほど観客は甘くはないと評しておく。

劇団森ホームページ:http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Stage/4453/
新宿パフスペース :http://www.pafspace.com/

以上が劇評です。久しぶりに辛口。
ま、フリートークで30分間って普通無理だが、そこの計算もできてなかったっぽいので、敢えて苦言を呈して見ました。
演劇見るひと見ないひと兎角この世はままならぬ。

さて、地道な劇評家でもある死紺亭の『過渡期ナイトon the web』はコチラです。
http://katokinight.fc2web.com/

それでは、また。今宵は満月のキャンドルナイトかな。チャオ☆