米朝、逝く。

人間国宝桂米朝さん肺炎で死去 89歳

新聞で死亡記事を見たときに、不謹慎ながら「まだ死んでなかったのか」と思ってしまった。
自分のなかでは談志が死んだときに、落語の時計が止まってしまったのだ。
米朝は生で見ていないことも、大きい。
談志は、一時期狂ったように、生で見た。
最前列の真ん中で見たいがため、夜7時の会に、昼の2時から並んだこともあった。もちろんそんな客は自分だけだ。
談志とざこばの対談で当然のように米朝の話になり、
「(米朝は)人間国宝になるという、俺からしてみれば、最大の不名誉を甘んじて受けるヤツだから」
と言い放つのも目撃している。ざこばは怒っていた。
米朝の偉大さは知っている。上方落語の滅亡を救った中興の祖だ。
芸人肌というより学者肌の人だ。
知的で端正な語り口。音源もずいぶん聴いた。
米朝一門の系図をみて、ひ孫弟子に月亭方正すらいるのも驚く。
懐の深い大人物だ。
敬称略でここまで書いたが、末筆ながら、
米朝師匠、安らかにお眠りください。ご冥福を謹んでお祈り申し上げます。