紅白の総評です。

12月12日に高田馬場ベンズカフェで開かれた、紅白ぽえとりー劇場。わたくし死紺亭柳竹は審査員&ゲスト朗読でした。
そこで、その日の総評をものしたので、みなさんご笑覧ください。
以下、総評。よいお年を!

☆白組のどうにも気になる3人の漢<オトコ>たち

……とある蛙さんが、印象に残って、離れない。
自称アラカン(アラウンド還暦のこと、嵐寛寿郎にあらず)の人生経験に裏打ちされた、渋いユーモアが炸裂。
”おれは夢想する”のリフレインがビートを感じさせた。正統派のリズムよ、くそくらえ!

大島健夫さんは、その叫び声の真摯さに胸を打つものがあった。
彼のシャウトのすごいところは、フラットな状態から、誰にも気づかれないように、いきなり感情が爆発するところにある。
といっても、それは暴発ではなく、計算に裏付けされている強みがある。お見事!

石川厚志さんは、演技派。そのマントに隠されているのは、鋭い知性だ。
土着的ではあるが、それはバンドのたまが土着的であった意味でそうなのであって、非常にノスタルジックだ。
朗読作品「が、ないからだ」は、たまの歌にあった、無いからだでななめけんすいをしている有り得ない運動を、テクストで繰り返しているようで、好きな世界観だ。

★紅組のなんとも気になる3人のオンナたち

芦田みのりさんは、自分を甘やかさないで進歩するひとだとつくづく思い知らされた。
即興は、大げさに言ってしまえば、その人の人生哲学が出る。”やきとり”の一本、いや、一語で作られたポエジーのなんと見事なことだろう。これは彼女の日ごろの物の見方の集大成が、贅沢にも瞬時に蕩尽されている爽快感だ。拍手。

桜舟さんは、ライトヴァースの達人とお見受けした。
朗読にも、奇のてらったところもなく、素敵でした。
人生が出てる。敬服。

笹田美紀さんは、朗読に入るまえに、「これは”詩”ではなく”独り言”です」という旨を静かに言い放った。その瞬間にこの詩人の将来の栄冠を確信した。
2年前の笹田美紀へ、2年後の笹田美紀からの真剣な応接。観客は一個のイニシエーションを目撃することになった。
新しい旅立ちに祝福を祈りたい。

☆補足

今年の紅白は素直に面白かった。
ジュテーム北村さんの卑怯すぎるカッコよさ(卑怯だから最優秀詩人を逃した!?)、ぬくみりゑさんの納得の最優秀詩人など話題は目白押しだ。
来年も楽しみだ。
以上、死紺亭兄さんの総評でした!